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決算書の作り方・ひな形

中小企業会計指針における「繰延資産」の償却期間の定め

今回は、「繰延資産」の償却期間についてみていくことにしましょう。

現行会社法では、旧商法のように繰延資産を限定することはなく、かつ、繰延資産の範囲や償却方法については、会計基準に委ねることとしており、とくに詳細な規定はおいていないということですね。

では、償却期間についてはどのようになっているのでしょうか。
現行会社法では、償却期間についてもとくに規定していないため、中小企業会計指針では、当分の間という条件付きながら、旧商法の償却期間での償却によるとしています。

◎中小企業会計指針での償却期間

創立費→5年以内
開業費→5年以内
研究費および開発費→5年以内
新株発行費→3年以内
社債発行費→3年以内
社債発行差金→社債償還の期限内

なお、年度ごとに任意の償却額を計算することは利益調整につながるということで、中小企業会計指針では月割計算による相当の償却を要求しています。

◎税法上の繰延資産の処理方法について

法人税法によると、次の費用のうち、その支出の効果が1年以上に及ぶものについては、税法上の繰延資産として処理。税法で定める期間で月割計算によって償却することとしています。

【税法上の繰延資産】
①自己が便益を受ける公共的施設、または共同的施設の設置、改良のために支出する費用
②資産を貸借し、または使用するために支出する権利金、立退料、その他の費用
③役務の提供を受けるために支出する権利金、その他の費用
④製品などの広告宣伝のために資産を贈与したことにより発生する費用
⑤①から④の費用のほか、自己が便益を受けるために支出する費用

なお会計上は、税法としての繰延資産は、繰延資産としては計上せずに、「投資その他の資産」の「長期前払費用」に計上することとされています。この部分については、従来からの会計上の取扱いのままとなっているので間違いのないようにしてください。

※小額の繰延資産の法人税法上での取扱いについて

税務上の繰延資産が20万円未満の小額の場合、繰延資産に計上せず、支出時に損金にすることが可能です。固定資産税では、この基準が10万円未満となっています。
ただし、青色申告を適用している中小法人の場合、年300万円を限度として、取得価額が30万円未満の減価償却資産は、支出時に損金にすることができます。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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