顧問契約中のお客様は、こちらよりお掛けください。担当部署直通です。クライアント様専用お問い合わせナビダイヤル042-313-8364

決算書の作り方・ひな形

中小企業会計指針における「圧縮記帳」「ゴルフ会員権の評価」の扱い

固定資産の取り扱いについて、中小企業会計指針では次のように定められています。

①減価償却を規則的に行うこと
②減損会計を一部導入したこと
③圧縮記帳の処理の明確化
④ゴルフ会員権の評価

今回は、③圧縮記帳の処理の明確化、④ゴルフ会員権の評価について、取り上げてみたいと思います。

「圧縮記帳」の処理の明確化についてみていきましょう。

企業会計原則では、国庫補助金などの受領は「資本取引」とされていました。これに対し、旧商法や税法では、「損益取引」として扱われ、実務レベルでも、税法の規定により、受領した時点で利益(所得)という扱いがされていました。
しかし、受領の時点で一時的に利益となるため、それに対して課税され、税金を負担する必要が生じます。つまり、補助金の効果が税負担により減殺されてしまうわけですね。
そこで「圧縮記帳」という手続きにより、課税の繰延べをはかったということなのです。

ただし、税法のみを意識した決算では、この圧縮損益を損益計算書に計上することがありました。そこで中小企業会計指針では、この点を明確にし、圧縮記帳は利益剰余金の圧縮積立金の積立てと取崩しで行うべきであると規定したということです。
中小企業会計指針では、「国庫補助金、工事負担金等で取得した資産ならびに交換、収用等および特定の資産の買換えで交換に準ずると認められるものにより取得した資産については、直接減額方式による」としています。

④ゴルフ会員権の評価については次の通りです。

中小企業では、ゴルフ会員権を所有していても、税法上の取り扱いが厳格であるため、取得原価で計上していることが多いのではないかと思います。
中小企業会計指針では、この点を重視し、ゴルフ会員権の評価について独立掲記し、注意を喚起しています。
具体的には、原則としてゴルフ会員権は時価があるもので時価が著しく下落した場合や、時価がないものでも、発行会社の資産状態が著しく悪化した場合は、減損処理を行うこととされています。

預託金方式のゴルフ会員権の評価損は、次の手順で処理します。
(1)預託保証金を上回る部分については、直接評価損計上
(2)時価が預託保証金を下回る場合は、差額を貸倒引当金で処理

法人税法上の扱いでは、ゴルフ会員権の本質は「プレー権」であるとしており、プレーができる状態にあれば損失を認めないというスタンスをとっています。そのため、会計上と税務上の差が生じ、会計上で生じた評価損などは申告調整の対象となるのです。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

0120-964-316