相続対策・相続税務の基礎知識

納税資金捻出効果を高める相続土地の「代償分割」②具体例

前回(コチラ)は、納税資金捻出効果を高める相続土地の「代償分割」の概要についてご紹介しました。今回は引き続きAさんのケース(AさんとAさんの弟が不動産を相続し、その一部を売却して納税資金を作りたい)について具体的な例をご紹介します。

◎土地②を共有してから売却した場合

Aさん・Aさんの弟とも、売却時には「相続税の取得費加算」を適用します。

<Aさんの土地の売却の場合>
Aさんの取得費加算可能額は「17,200万円×45,000万円/50,000万円=15,480万円」となります。つまり15,480万円までは譲渡益を消すことができるということです。なお、相続の計算上納税猶予を適用した場合には、実際の納税額ではなく納税猶予前の算出額を基準に計算することができます。これによりAさんが相続した"土地②の2分の1部分"の売却については、譲渡益が全額消され譲渡例は生じません。

<Aさんの弟の土地の売却の場合>
Aさんの弟の取得費加算可能額は「4,800万円×15,000万円/25,000万円=2,880万円」となります。これによりAさんの弟が相続した"土地②の2分の1部分"の売却については、譲渡益のうち2,880万円を消すことができますが、残りの部分について譲渡所得税は「5,000万円ー(5,000万円×5%+2,880万円)=1,870万円」「1,870万円×20%=374万円」となり、374万円の税金が生じてしまいます。
Aさんの弟は、相続税を納めるためには譲渡代金の税引き後の手取額だけでは足りなくなってしまいます。

◎土地②をAさんが相続し、Aさんの弟に代償金5,000万円を支払う場合

Aさんは相続税の取得費加算を適用して売却します。Aさんの土地の売却の場合、Aさんの取得費加算可能額は「17,200万円×45,454.5万円/50,000万円=15,636.3万円」となります。これによりAさんが相続した土地②の売却については、譲渡益が全額消され譲渡例は生じません。

結果としてAさん、Aさんの弟ともに譲渡所得税は生じず、Aさんの弟は5,000万円をそのまま代償分割で取得し、相続税の納税に充てることができることとなります。

納税するとなると、節税できないかなと考える方も多いかもしれませんが、相続税に関しては節税だけが論点にはなりません。節税と絡めた納税資金の作り方や、物納の仕方、物納資産の適格性をもたせる方法など、考慮すべきことが多岐にわたります。そのため、相続は税務の専門家にご相談いただくのが、金銭的な面に限らず心理的にも体力的にも負担を減らすことにつながります。当事務所でも、相続関連のご相談専門機関として「相続手続き支援センター」を立ち上げておりますので、相続が起きて悩みが発生されたときはもちろん、相続が発生しそうという時点から、不明な点があればご相談ください。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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