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相続対策・相続税務の基礎知識

借金および借金の返済の有無によって相続税は変わるか

借金および借金の返済の有無による相続税の変動について

今回は、借金および借金の返済の有無による相続税の変動についてご紹介します。

例えば、Aさんの財産は現預金が2億円、不動産3億円、その他1億円で、銀行借入金が1億円あります。以前「借入金で賃貸マンションを建てると相続が下がる」といわれ、2億円を借り入れて賃貸マンションを建てました。
今回Aさんはその時の銀行借入金の残債1億円を全額返金してしまおうと思っていますが、友人から「借入金がなくなると債務控除できなくなって相続税が上がる」といわれました。借入金を返すと相続税はどうなるのでしょうか。

この場合結論からいうと、借入金を返済したとしても、新たに借入金を追加したとしても、それだけで相続税が変わることはありません。借入金を返済すればその分現預金が減りますし、借入れをすればその分現預金が増えます。よって結果として相続税の対象となる純財産(財産一債務)は変わりません。
例えば建物を建築すると相続税は変わります。現金や借入金の評価は額面金額ですが、建物は固定資産税評価額によります。建物の固定資産税評価額は、一般に建築価格の60%相当とされています。
つまり、2億円で建てた建物の評価額は「2億円×60%=1.2億円」となり、0.8億円の評価減になります。また、この建物を賃貸した場合には、貸家評価をしてさらに30%評価減します。

つまり2億円で建てた貸家は「2億円×60%×70%=0.84億円」の評価となり、1.16億円の評価減になります。さらにその敷地は貸家建物付地として一般的に18%から21%の評価減になります。(小規模宅地評価減を適用した場合にはさらに200平方メートルまでの部分について50%評価減を行うことができます)

アパートや賃貸マンションを建てることは、たしかに相続税は下がります。しかしこれは借入金で建てた場合も自己資金で建てた場合も、同じ結果になるということなので、Aさんの友人の「借入金がなくなると債務控除できなくなって相続税が上がる」という話は間違いなのです。
基本的にはAさんが特に現金が必要でないのであれば、今後の金利負担を考慮して全額返金した方がよいでしょう。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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