今回は「貸倒引当金」についてご紹介します。

◎「貸倒れ」と「貸倒損失」

売掛金や受取手形による商品売買は、将来代金をすべて回収できない危険性がありますよね。例えば販売先が倒産してしまった時などは代金の全額を回収することは困難になるでしょう。このように売掛金を回収することが不可能になってしまうことを「貸倒れ」といい、この場合簿記では「貸倒損失」として処理することになります。

◎あらかじめ貸倒損失に備える「貸倒引当金」

当期中に発生した売掛金に対して、当期中に貸倒損失が発生した場合は、同じ会計期間内に収益（売上）と費用（貸倒損失）が発生するため、対応関係があります。しかしやっかいなのは、必ずしも貸倒損失は収益（売上）が発生した会計期間中に起きるとは限らないということです。とはいうものの、本来収益と費用は同一会計期間内で対応させることが原則です。
そこで、売掛金などに対する貸倒れの可能性に対して、その損失額をあらかじめ見積もって計上する（引き当てる）ものを「貸倒引当金」といいます。

◎貸倒引当金の計上方法

＜例：期末の売掛金に対しての損失の見積額が20万円であった場合の貸倒引当金の計上＞
①結果を考える…貸倒引当金として損失見積額20万円を支払った（と考える）　⇒　帳簿の右（貸方）に「貸倒引当金20万円」と記入
②原因を探る…貸倒引当金繰入額20万円を得た　⇒　帳簿の左（借方）に勘定科目「貸倒引当金繰入額20万円」と記入

また、次期になり、売掛金の残高による貸倒引当金の見直しで差額が生じた場合は、差額補充法で計上します。
　（差額補充法…当期末に見積もった損失額と決算整理前残高試算表に引き当ててあった貸倒引当金との差額を計上する方法）

＜例：上の例の次期において、期末の売掛金に応じた見積額が24万円であった場合の仕訳＞
①結果を考える…貸倒引当金として損失見積額4万円を追加で支払った（と考える）　⇒　帳簿の右（貸方）に「貸倒引当金4万円」と記入
②原因を探る…貸倒引当金繰入額4万円を得た　⇒　帳簿の左（借方）に勘定科目「貸倒引当金繰入額4万円」と記入

※記事に含まれる情報は、記事作成時点のものとなります。