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税務処理の基礎知識

会社設立に伴う開業費、営業経費などの処理方法

会社を設立する際、開業準備のために支出する費用を開業費といいます。
また、設立登記をする前に営業活動を始めた場合、開業費のほかに営業経費が発生することがありますね。
こうした費用はどのように経理処理をすればよいのでしょうか。

◎開業費の処理方法

開業費は、支出の効果が支出の日以後1年以上に及ぶため、繰延資産といわれています。
企業会計と税法では、その範囲に違いがあるので注意してください。

●企業会計では…
会社設立後営業開始までに支出した費用で、次のようなものが対象です。
土地/建物の賃借料/広告宣伝費/通信費/事務消耗品/支払利子/給料/保険料/水道光熱費、他
事務処理については、設立年度に繰延資産として資産計上し、5年以内に均等償却することになっています。

●税法では…
法人の設立後、事業を開始するまでの間に、開業準備のための特別に支出する費用だけが、開業費に該当します。
たとえば、開業準備のために特別に支出した広告宣伝費、接待費、旅費、調査費などで、開業準備の費用でも、支払利息、給料、家賃、水道光熱費などの経常的費用は開業費には含まれず、販売費および一般管理費として、設立した事業年度の費用になります。
事務処理については、設立年度にその全てを費用として処理することも、一部だけを償却することもできます。

◎設立前に発生した費用や売上の処理方法

会社の設立登記が行われる前に営業活動を行い、交通費、交際費、給料などの経費を支払うことはままあるでしょう。
会社は設立登記をした日に成立するものなので、会社設立前の収益や費用は、個人に帰属するのが原則です。
しかし、法人の設立期間は短いことが多く、その間の取引金額はそれほど大きくないのが普通ですね。
その原則通りに設立前と後に分けて申告するのは手間がかかるということで、法人の設立期間中の損益は、その法人の設立した事業年度の損益に含めて申告することが認められています。

ただし、例外もあるので注意が必要です。
①設立期間が長期にわたる場合
長期にわたる場合は、原則通り、会社設立前の損益は個人の損益として申告することになっています。
②法人成りの場合
法人成りによる設立は、その前から個人事業を継続しているので、一般の設立期間中の損益とは扱い方が異なります。
法人が設立されるまでの期間の損益は、短い時間であっても、全ての個人の損益として扱うこととなります。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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